Japanese
English
展望
大学精神衛生
University Mental Health
石川 清
1,2
Kiyoshi Ishikawa
1,2
1東京大学医学部精神医学教室
2東京大学保健センター
1Neuro-Psychiat., Faculty of Med, Univ. of Tokyo
2Tokyo University Health Servicies
pp.765-773
発行日 1968年10月15日
Published Date 1968/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201386
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
いまからちようど半世紀前の大正7年(1918)4月2日,第17回日本神経学会総会(呉秀三会長)16)で,内務大臣宛に「精神病者ハ我全国ニ於テ凡ソ十数万人ニ及ブベシ……保健調査会ノ調査ニヨレバ全国ノ精神病者凡六万五千人中病院ニ於テ治療ヲ受ケ居ルモノハ五千人許ニシテ他ハ悉ク自宅監置ノモノナリ……」という実状に基づき,「精神病者保護治療」の充実を要求する建議がなされたことは周知の事実であるが,同時に文部大臣宛にも「児童ノ精神状況ハ教育訓練上大ニ顧慮スベキモノナリ目下小学中学ノ生徒ニツキ身体状態ハ稍々研究セラレツツアルモ精神状態ニツキテハ甚閑却セラレタルノ観アリ当局ニ於テモ比点ニ関シテ充分ニ尽心セラレンコトヲ望ム」(全文)という建議がなされているのである。
この記念すべき総会は「純医学上見地ヨリ」,すでに病にかかり苦しんでいる人々に対する医療とともに,病に陥りつつある青少年に対する医学的方策について強く発言したのであつて,精神医療と学校精神衛生というきわめて現代的な課題をすでにふまえていた先達の慧眼には敬服せざるをえない。
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.