Japanese
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研究と報告
分裂病家族の人格特徴—ロールシャッハ・テストによる自我構造論
Personality Structure of the Family-Members of Schizophrenics studied by Rorschach Test
金子 仁郎
1
,
辻 悟
1
,
古荘 和郎
1
,
林 正延
1
Ziro Kaneko
1
,
Satoru Tsuji
1
,
Kazuo Furusho
1
,
Masanobu Hayashi
1
1大阪大学医学部精神神経科学教室
1Dept. of Neuropsychiat., School of Med., Osaka Univ.
pp.774-780
発行日 1968年10月15日
Published Date 1968/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201388
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I.はじめ
臨床的に分裂病者の家族と接して,その人格構造にいちじるしい特異性を感じとり,その特徴がきわめて非一般的なものであることに気づくことはめずらしいことではない。分裂病家族についての研究のあるものは,こうした家族の持つ人格構造の偏倚に対する興味から出発したものであり,それはあるときは遺伝生物学的問題として追求され,またあるときは病者を育む心理学的環境因子として分析されてきた。最近の分裂病の家族研究は,家族成員そのものよりも家族を全体として把握し,その力動的相互関係を明らかにしようとする方向をとつており,家族成員個々の問題はあまりとりあげられていないように思われるが,いまだ,そうした家族成員の人格特徴は十分に詳細化されたとはいえない。
われわれは分裂病家族の人格構造を詳細化し,さらに分裂病家族の力動的様相を明らかにする目的で家族力動の追求とともに病者および各家族成員に数種の心理テストを施行してきた。
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