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研究と報告
集団歩行時の縦並びと横並び—精神病院における生活療法の行動学的検討
Walk in a File and Walk in Abreast of Normal and Schizophrenic Individuals.: An Ecological Study on Group Walking with Regard to Occupational Therapy
菱山 珠夫
1
,
越沼 重雄
1
Tamao Hishiyama
1
,
Shigeo Koshinuma
1
1厩橋病院
1Umayabashi Mental Hospital
pp.737-743
発行日 1968年9月15日
Published Date 1968/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201383
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I.はじめに
近年行動学的方法が,精神科領域にも導入されるようになつてきている。この意義については,臺4)がすでに総活的に論じているところである。この種の方法を精神病院の場面に適用した研究としては,深沢1)らの報告や,久住2)の報告などが挙げられる。また杉山3)は精神病院において日常行なわれている集団歩行時に形成される行列をHumanchromatograhpyと名付け,この観察を通じて,慢性分裂病者の行動特性を解析しようとこころみている。
たしかに精神病院において日常見過ごしている入院患者の生活行動のなかには,治療者の観察態度ないしは観察方法いかんによつては,かれらの病態を探るうえでの貴重な情報を提供してくれる多くの要素が含まれている。それを見出し,客観化し,定式化していく努力が必要であろう。この努力は,単に精神病者の行動特性の解析という基礎的研究の意味とは別に,精神病院における生活療法,働きかけの検討,といつた臨床実践の面からも重要である。以上の観点から,慢性分裂病者を中心とする入院患者群が,看護者の看視,誘導もなく比較的自由な状況下で集団的に歩いているさいの行動を観察し,類似した状況下での高校生の行動と対比しつつ,とくに集団と個人,および各個人間の結びつきという面から検討を行なつた。
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