原著
絨毛上皮腫の臨牀的観察(第1報)—既応症並びに,現症に就て(その2)
金子 光
1
1名古屋大学医学部産婦人科教室
pp.23-30
発行日 1955年1月10日
Published Date 1955/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201139
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
生物学的妊娠反応:本症84例中A.Z.R.竝びに,Friedman反応を実施したもの67例にして,この内,A.Z.R.反応を実施したもの6例,Friedman反応を実施したもの61例である。而して,本症患者に実施した生物学的反応は症例34を除いて総て陽性であつた。
1.症例34,成○や○,20歳,P〜2,(山元,永田報告例10))。最終月経,昭和12年中旬/Ⅵより7日間,同年3/X胞状=奇胎自然分娩。その後,H細覧持続,分娩後2週間後子宮内膜掻爬術を受くるも爾出1丘し持続,12/XI当院入院。当時,心,肺異常なし,腹部右腸骨窩に抵抗感あり。内診所見,腔柔軟,子宮大さ小驚卵大,軟,圧痛なし,可動性。右附属器は手拳大,左附属器は鶏卵大,阻痛なし。分泌物は曙褐色粘液性,中等量。依つて,予宮内残留乃至絨毛上皮腫を疑い,Friedman反応を実施,陰性。8日後再度Friedman反応を実施せうも陰操。ここで出血を伴う卵簗嚢腫の病名で開腹手術施行の為検査するに,赤血球127万,白血球7200,血色素(Sahli)50%。子宮卵策造影術所見,子宮壁弛緩,子宮底部の像は.突起状の凹凸不整形,特に右側子宮角の附近薯明,術右側子宮角を熟視するに,子宮角より子宮等底に亘り栂指頭大の凹部が見える。
Copyright © 1955, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.