コンタクトレンズ(10)
縦わりと横わり
長谷川 泉
pp.43
発行日 1960年2月10日
Published Date 1960/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202028
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本や雑誌を作る場合に,企画・取材から宣伝・販売にいたるまで1人が一貫して担当する縦わりのやり方と,企画は企画,取材は取材,校正は校正といつた風に横わりのやり方と,考え方と具体的な仕事の進め方に2通りの方法がある.これらのやり方は,それぞれに一長一短があるから,どちらがよいと決定的なことは言えないし,それぞれの社ではそれぞれのやり方をやつているであろう.縦わりのやり方は仕事上広く全般の知識がなければできないが,横わりのやり方は,あるわく内のことについてはべテランになり,その専門的な知識を十分に生かすやり方である.すなわち,企画マンは企画マンとして,取材者は取材者として,校正者は校正者としての専門的な一定のわく内の仕事をすることになる.
医学書院が現在とつている方法は横わりの方法である.本や雑誌をつくることから言えば編集部が企画と取材を担当し,生産部がわりつけ,校正,印刷,製本を担当し,販売部がPRと販売を担当するのである.したがつて1冊の本や雑誌が,編集部から生産部,販売部の手をへて生み出され販売されて読者の手もとにわたつてゆく.生産部の内部においても,わりつけの専門職と校正の専門職,印刷,製本の専門職は分れているから,企画からはじまつて,1冊の本や雑誌ができあがるまでには,ずい分多くの人の手を通ることになる.これが横わりのやり方である.
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