Japanese
English
研究と報告
寛解期分裂病者における病識に関する二,三の問題
Einiges über die Krankheitseinsicht bei remittierten Schizophrenen
梶谷 哲男
1
Tetsuo Kajitani
1
1中央鉄道病院神経科
1Aus der neuropsychiatrisclaen Klinik, Zentrales Hospital der Japanischen Nationaleisenbahn
pp.173-177
発行日 1967年3月15日
Published Date 1967/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201163
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Ⅰ.はしがき
病識は,疾病判断の有無をみるという日常の臨床的,実践的次元から,病態に対して病者のとる全人格的構えの意味を考察するという精神病理学的次元,その洞察を治療的実践に利用しようとする精神療法的次元,さらには自覚(Besinnung)一般としての人間学的次元におよぶ非常に広汎多義な概念である。しかし一般的には,Jaspersの「自己の体験に対し観察しながら立向かう構えの正しいもの」とされ,その後多くの訂正意見が発表され,病識についてのかなりの定位(Orientierung)が与えられてきたが,そのあいまいさはまだ十分解決されたとはいえない。
ただし,その概念のあいまいさにもかかわらず,この言葉は,日常しばしば使用されているし,ある意味では不可欠の臨床用語の一つともいいうるであろう。
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