Japanese
English
研究と報告
寛解過程における分裂病者のパースペクティブについて—特に初発分裂病者が寛解過程において,それまでの体験を不思議だったと語ることの意義について
Perspective of Schizophrenics in Remissionprocess
藤井 洋一郎
1
Yoichirou Fujii
1
1北林病院
1Kitabayashi Hospital
キーワード:
Schizophrenia
,
Perspective in remissionprocess
,
Feeling of being ill
,
Cognitive therapy
Keyword:
Schizophrenia
,
Perspective in remissionprocess
,
Feeling of being ill
,
Cognitive therapy
pp.1195-1200
発行日 1991年11月15日
Published Date 1991/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903144
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【抄録】 従来から精神分裂病の初発時の回復の程度がその予後に大きな影響を及ぼすことが指摘され,初発時の病的体験をできるだけきれいに消失させることの必要性が説かれている。この点に検討を加えるために我々はパースペクティブと地平という概念を援用し,寛解状態の理解を深めようとした。病的体験の中を経過することによって構成された(病的)地平は精神病過程において障害されたパースペクティブ機能の回復に同期して消失するものではない。寛解後期にしばしば病者が語るところの「不思議だった」という言葉は病盛期におけるそれとは異なり,自分の下した判断の不合理性に対して述べられるものである。この時には病的地平としてあった事態を今一度対象としてとらえ直し検討を加えているのである。この検討が十分に行われることにより再発時に役立つ病感を育てることができることを示した。
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