特集 宗教と精神医学
第63回日本精神神経学会総会シンポジウ厶
指定討論
藤田 千尋
1
1慈恵医大神経科
pp.936-938
発行日 1966年11月15日
Published Date 1966/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201104
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森田療法と禅とに関して,従来からかなり多くの論説がなされておりますが,そのほとんどが両者の類似性をあげているだけで,その特質的差違については述べられていないように思えます。そこでこれらの論説を私なりに区分してみると,ほぼつぎのように3つに分けられます。すなわち,その第1は,森田療法そのものを規定する考えかたであります。
禅思想の特質と森田療法とのそれの類似性から,森田療法は禅的方式の内容をもつものであると結論すること。少なくとも,日本で神経症といわれるものは,"とらわれ"そのものが人間の苦悩の原因であると考える仏教の考えかたに影響されており,これの治療には,禅思想にみいだされる体験主義や現実への態度を原理として生かしている森田療法が最高である,として禅思想の体系のなかに森田療法を完全に包含させたもので,森田療法は,禅療法であるというものであります。
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