特集 宗教と精神医学
第63回日本精神神経学会総会シンポジウ厶
指定討論
高良 武久
1
1慈恵医大
pp.917-919
発行日 1966年11月15日
Published Date 1966/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201097
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ある種の宗教的体験について
宗教的体験あるいは神秘的体験とか霊的体験といわれるものは精神病理学的対象となる病的現象もあるが,必ずしも病的とは認められない種類のものも多いのでこれらを同一視してはならない。
わが国で故森田正馬教授によつて記述され,その後数氏によつて多数の例を報告され現在われわれがしばしば遭遇するいわゆる「祈檮性精神病」はその前者に属すものである。これは一般に教養の低い女性に多く見られるもので,不安な心境にあるものが,宗教あるいは迷信に惑溺して精神障害を起こすもので,人格変換,憑依現象,意識野の狭小,幻覚妄想,興奮などを伴うことが多く原始反応的でbionegativの現象である。
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