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特集 宗教と精神医学
第63回日本精神神経学会総会シンポジウ厶
地域社会からみた精神障害者の宗教分布とその信仰体制,ならびに宗教が精神障害者に与える影響について
Study on the Religion Distribution and Structure of Mental Patients in Community and on the Religion-induced Reaction
桑原 公男
1
,
鈴木 弘雄
1
K. Kuwahara
1
,
H. Suzuki
1
1沼津精神病院
1Numazu Mental Hospital
pp.884-889
発行日 1966年11月15日
Published Date 1966/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201088
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I.はじめに
日本人の宗教的特徴として,その多様性と,重層性があげられる。そしてわれわれの社会には,宗教的伝承といわれている種々な宗教的いとなみが存在し,われわれ日木人はダイナミックな行動の面において,種々の影響を受けている。疎外状況に囲まれているわれわれは,創造的な主体をつくり出すための自己主張の結果,宗教のもつ宗我の本態を見誤りがちであり,直接的暗示にさらされている非合理的傾向にはしりやすい。Grensted1)は,被暗示性の統御のできいかんにより成人的生活の成否が定まると述べている。一方,現代の思想の流れは宗教のもつ不寛容性を可能なかぎり縮少して,人類のための対話を人間に要求している。James2)は宗教現象をいたずらに変態あるいは病的として,さげすむことをしないで,人間精神の生けるがままをとらえようとする方法と努力を示している。われわれもすなおにこの考えに従うものであるが,同時に宗教が人間生活の究極的な意味を明らかにするところのまじめな社会的態度である以上軽信に対しては厳しい態度をとりたい。
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