特集 宗教と精神医学
第63回日本精神神経学会総会シンポジウ厶
はじめに
三浦 岱栄
1
1慶大神経
pp.883
発行日 1966年11月15日
Published Date 1966/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201087
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
宗教と精神医学の関係の問題は,私がかねて“精神医学”の展望欄で述べたごとくきわめて重要な各種のモメントを含んでいるのであるが,このテーマがようやくわが国においても日本精神神経学会の総会において今回“正式”にとりあげられるにいたつたことは,司会者ならびに副司会者として慶賀に堪えないしだいである。なぜなら,このことは,わが国の精神医学も旧来のnosologicalな,あるいはinstitutionalな精神医学の枠をこえて,広くsocial psychiatryの領域にまで進出してきたことを示す兆候のひとつだと司会者たちは考えるからである。換言すれば,現在の,あるいはこれからの精神医学は広く“人間の科学”の一分野を占めなければならぬという使命観に立つとすれば,理論的には,人間の共通の母胎ともいうべき,心の奥深く巣くつているところの本能-情操の探究,開明に,宗教も精神医学もそれぞれ有力な突破口を提供してきたことは,歴史的にも明らかな事実で,実践的には,精神衛生の一端を荷負うことが約束されているといつてもよいだろう。本日は14名の会員から,宗教と精神医学の関係の各方面にわたつての研究報告の申し込みをいただき,司会者側よりの厚い感謝の意を表したい。またその報告のあるものについては指定討論をお願いしたが,これまた快諾くだされたことをお礼申しあげる。
Copyright © 1966, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.