Japanese
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研究と報告
PZ 1511(Carbadipimidine)の臨床経験から
Clinical Experience with PZ1511 (Carbadipimidine)
笠原 嘉
1
,
藤縄 昭
1
Y. Kasahara
1
,
A. Fujinawa
1
1京都大学医学部精神医学教室
1Dept. of Neuropsychiatry, Kyoto Univ. Faculty of Medicine
pp.825-827
発行日 1965年9月15日
Published Date 1965/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200904
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約1年半前からこんにちまで計47例の精神疾患者にこの薬物を投与した。その経験の一部はすでに筆者のひとり藤縄が39年3月に発表しているが,今回は以後1年の経験をこれに加える。結論を先取すれば,こんにちなおわれわれはこの薬物の投与さるべき適応症候,効果などについて積極的な発言を行なえる段階にいない。しかし以下にも述べるように,この薬物によつて治癒とはもちろん称しがたいにしても,長い拘着状態からひとまず脱却することのできた何人かの患者のあることを見たので,一応こんにちまでの使用経験の範囲から考えられるところを暫定的にまとめて述べたい。
上記47例の診断学的内訳は,分裂病群33例,神経衰弱ないしはそれに準ずる状態12例,その他2例となる。もつとも,分裂病といつても荒廃状態を含めた陳旧性のもの,あるいは2ないし5年の経過をもつた破瓜ないし単純型がもつぱら選ばれており,神経衰弱状態としたものも軽うつ,離人,心気症などを長年にわたつてもちつづけた慢性例がすべてであり,そのなかの幾人かはいわゆる境界例とよんでもよい。急性状態,妄想幻覚状態には1例も使用していない。使用対象を以上にかぎつたのは,藤田(貞)の示唆に従つたからである。その他の2例とは,対照の意味で無為寡動の進行麻痺者と頭部外傷後の人格変化を呈している者それぞれ1例に使用したものである。
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