Japanese
English
研究と報告
精神病院における入院生活の様相について—第2報:精神病院社会の心理学的特徴
On Some Psychological Structures of "admitted-state" in Mental Hospital.
柴原 堯
1
,
前田 正典
1
Y. Shibahara
1
,
M. Maeda
1
1京都府立洛南病院
1Kyoto prefectural mental hospital "Rakunan"
pp.322-326
発行日 1965年4月15日
Published Date 1965/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200835
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精神病院の心理学的場が,精神疾患者の精神生活に与える影響について,患者の自己描写をもととして考察を行なった。
(1)精神病院の入院生活においては,一般社会と比較して,有責性,可能性,自律性の欠除あるいは狭少化,自己評価の低下,自尊心の不在,時間の連続および対人連惜感の稀薄化がもたらされ,このような影響は作業療法を行なつている患者においても認められ,患者の社会生活への復帰とは逆の方向に作用している。
(2)一方では,この精神病院社会の心理的特徴は,人間関係の単純化,気楽さ,安易さ,日常生活における脱緊張感を患者の内面的生活にもたらしており,これらは急性期における患者の心理学的安定に有効に作用していると考えられる。
(3)慢性期における作業療法においては,これらの影響を少なくするため,個々の患者の状態に応じて,その作業に自律性,責任を与えなければならず,また急性増悪期経過後の早期退院も十分考慮されねばならない。
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