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研究と報告
精神疾患者の開放管理について—第3報 精神病院職員の開放管理に対する態度
On the attitude of the staff-member for the open-door-policy
柴原 堯
1
,
渡辺 朝子
1
Y. Shibahara
1
,
A. Watanabe
1
1三重県立高茶屋病院
1Mie Prefectural Hospital"Takachaya"in Tsu
pp.733-739
発行日 1962年10月15日
Published Date 1962/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200487
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精神病院職員の自己の精神病院が行なつている精神疾患者の開放管理に対する意識調査を行ない,つぎのような結果をえた。
イ)開放管理を行なうことによつて生ずる困難な問題については,病者の急激な病状の変化が直接地域社会ひいては病院の運営に大きな影響を与えることが強調され,また一面では単純な物理的な開放管理は病者に無目的な日常生活を与えるにすぎないし,また閉鎖患者の処遇の相対的低下をもたらすことが指摘された。
ロ)これらの困難な問題に対する処理の方法としては,閉鎖病棟への再収容がやむをえないが,しかしその決定を行なう以前に十分な病者の人問性についての理解の努力が必要であることがのべられた。
ハ)開放管理は病者に自主性,精神的自由を与え,その日常生活の態度にのびやかさ,明かるさがみられるが,しかしそれは一方では完全な社会的適応状態を意味するのではなく,単に病者の内面的放縦性を表現しているにすぎないのであつて,これらのことから今後の開放管理の運営に関しては,一定の社会的行動の可能性を規準として開放病者を選別し,それにさらに自由時間を利用して,社会的規範の十分な教育を行なうことが必要であることがのべられた。
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