特集 入院患者の心理を探る—病みと不安
精神病院の入院生活における不安の諸相
柴田 恭亮
1
1鹿児島県立鹿児島保養院
pp.883-888
発行日 1982年8月1日
Published Date 1982/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922837
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はじめに
通常,入院生活をおくるのは,肉体の危機状態,すなわち病の存在が明らかになるか,その可能性が濃厚な時であるから,たとえ短期間であっても,なんらかの不安が伴うのは当然である.ましてや長期間の入院ともなれば,病気についてはもとより,家庭や職場,更には自己の存在価値にまで不安は果てしなく拡大し,深刻の度を増していくことになる.こうした意味で入院生活の場は,肉体と精神が病気と不安を相手に熾(し)烈な闘いを繰り広げている修羅場とも言えよう.
最近,精神的看護の重要性が改めて認識されつつあるが,これは入院生活に伴う様々な不安の解消が治療上欠かせないことであり,看護職者がその役割を担う立場に置かれているからにほかならない.
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