特集 精神分裂病の“治癒”とは何か
第1回日本精神病理・精神療法学会シンポジウム
指定討論
岡田 靖雄
1
1都立松沢病院
pp.222-223
発行日 1965年3月15日
Published Date 1965/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200820
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演者のお話をうかがつてまして,いちばん強く感じますことは,カニは己の甲に似せて穴を掘るといいますか,分裂病の治癒についての考えかたも,それぞれの臨床的活動の場によつて,かなり違つているということです。私が竹村先生のお話に対し討論ということですが,似たような病院で,似たような考えかたで仕事をしていますと,考えかたも似てきますので,討論になるかどうか,ともかくも分裂病の治癒について,私が考えていますことを2,3述べたいと思います。
松沢病院の石井毅が,分裂病はなおせるかの問題をどう考えているか,20名ほどのインターン生について調査したところ,その9割が一致して,分裂病に寛解はあるが,完全治癒は絶対にないと答えております。松沢病院には各地の大学からインターン生がきており,この答えは大学でどう教えているかを示すとともに,一般の医師がどう考えるようになるかを示すものだと思います。寛解はあるが,完全治癒はないという,そのいいかた自体は誤つていないと思いますが,ここで分裂病の寛解と完全治癒とがまつたくべつのものとしてとりあげられていることに問題があるように思います。
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