第4回精神医学懇話会 精神医学と行動科学
指定討論
岡田 靖雄
1
1東京大学精神神経科
pp.641-656
発行日 1967年9月15日
Published Date 1967/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201237
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Ⅰ.
まずはじめに,討論にあたつていくつかの前提を述べたいと思います。いま小木さんは,たいへん理論的につつこんでお話しされたわけですけれども,わたしは,問題の行動科学についてはよくわからない素朴な臨床医としての立ち場から討論したいと思います。また,具体的に討論をまとめるだけの時間が与えられなかつたのをよいことにして,思いつくままに,気らくに所感を述べさせていただきます。ことばも十分に選んでありませんので,失礼な表現もでるかと思いますが,その点はおゆるしください。また,臨床医の立ち場から述べますので,とうぜん,臺先生の精神神経学会総会特別講演ならびに報告要旨を主として討論の対象にいたします。
臺先生の総会講演は,じつにうまいお話でして,いままでの半生のお仕事をみごとにつないでみせられた,いわば義経の八艘飛びを見るようでした。われわれがエッチラオッチラ苦労して船をこいでいくところを,臺先生はみごとにとんでみせたのです。臺先生はつねづね自分の仕事を"長編小説をかくことだ"とおつしやつています。きようのお話や総会講演は,たぶん,その長編小説の筋書きだろうと思います。そうしますと,私は,作家論もいれた作品鑑賞をしなければならないことになりますので,そういう面も含むと思います。
Copyright © 1967, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.