特集 精神分裂病の“治癒”とは何か
第1回日本精神病理・精神療法学会シンポジウム
生活臨床より見た精神分裂病の異常と治癒の概念
台 弘
1
1群馬大学精神科
pp.224-228
発行日 1965年3月15日
Published Date 1965/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200821
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I.生活臨床
精神分裂病の治療の概念は異常の概念と切り離して論ずるわけにはいかない。分裂病的異常とは何かをとりあげることになると,精神病理学的ジャングルのなかに踏み込まなければならない。森のなかにはいると木しか見えないし,自分の踏みあとが道のように思えてくるものである。
いや,自分の道はたいがい誰かが歩いたことのある道である,そしてその道も大昔は「けものみち」だつたのがもしれない。分裂病者と行をともにすることも意味があるが,またヘリコプターで森の上を飛んで,道の成立の要件を調べ,迷いやすい個所をマークするのも必要である。生活臨床とはそういうやりかたである。
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