Japanese
English
研究と報告
急性一酸化炭素中毒後長期経過した1例
Ein Fall der lange verlaufenen akuten Kohlenoxydvergiftung.
植田 稔
1
,
松岡 喜三郎
2
M. Ueda
1
,
K. Matsuoka
2
1信州大学神経精神医学教室
2松本精神病院
1Aus der neuropsychiatrischen Klinik der Shinshu Universität
2Aus der Matsumoto Irrenanstalt
pp.435-439
発行日 1964年6月15日
Published Date 1964/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200713
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I.はしがき
急性一酸化炭素中毒は,その経過から,間歇型,不全間歇型,非間歇型の3型に分類されている。このなかで間歇型の経過をとる急性一酸化炭素中毒は,一酸化炭素曝露後ひきつづき起こつた急性中毒症状と続発症状との間に無症状の時期を有するものである。間歇型の場合には,その直接原因である一酸化炭素の侵襲がもはや存在しないにもかかわらず,その神経症状ならびに精神症状が漸次悪化するのはいかなる機序にもとづくものであるか。その疑問に関して,H. Becker,Quadbeck,Pentscheu,W. Wünscherらがその文献でふれている。われわれは急性一酸化炭素戸毒後,不全間歇型の経過をとつた症例を18年にわたつて観察することができた。しかも,その間,全身浮腫を伴ううつ血性心不全をくりかえし,精神神経症状は漸次悪化するのを認めたのでここに報告する。
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