Japanese
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特集 病識〔精神病理懇話会講演および討議〕
(1)精神分裂病の<病識>に関する一つのアプローチ
Ein Aspekt der "Krankheitseinsicht" in der Schizophrenie
島崎 敏樹
1
,
阿部 忠夫
1
1東京医科歯科大学神経精神医学教室
1Aus der Psychiatrischen Klinik der Ika-Shika Universität zu Tokyo
pp.97-103
発行日 1963年2月15日
Published Date 1963/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200525
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われわれは「病識」ということばを精神医学の臨床で日常たやすく使いならしている。特に精神分裂病において,病識の如何が常に問題にされる。分裂病において,寛解またはこれに準ずる状態の時期を「静態期」と名づけ,われわれはこの静態期における病識について考えたいと思う。ところで,病識とはなにか,どういう場合に病識があるといい,どういう場合にないというのかと考えると当惑してしまう。わかつているものがわかつていないという状況にある。
そこでまず,「病識」ということばが従来どのように使われていたかを辿りながら,語義を明らかにしたい。Kraepelinは「経過した疾患を病的なものとみる病識は,回復への重要な兆候である」と述べ,病者が病識をもちうると認めているように思われるが,病識の定義づけはごく単純簡略である。ところがE. Bleulerは分裂病経過者について「これらGeheilteでは病識が十分でなく,ある種の妄想めいた現実ばなれした立場を保持している」「分裂病性妄想の完全な訂正を確認することはほとんど不可能だ」といい,M. Müllerは「病識をもつた治癒は極めて稀で,経過した分裂病性Schubに対する真に客観的な態度は,診断に疑義を抱かせる」とまで極言している。
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