研究と報告
Parkinson症候群に対するEthoprazineの使用について(パーキン錠)
長尾 朋典
1
,
楢林 博太郎
1
,
式場 聰
2
1順天堂医大神経科
2式場病院
pp.705-707
発行日 1961年8月15日
Published Date 1961/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200364
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緒言
パルキンソン症候群(以下パ症候群とす)についての薬物療法としては,古来いくつかの方法がみられるも,いずれも治療効果の確定的なものをみていない。ただ本症候群の中でも,とくに筋強剛に対しては,最近においてアーテンが最高に効果を示すことは認められているが,なおこのようなγ系の機能亢進による筋トーヌスの異常に対しても,あくまでも対症的治療法にすぎない。しかし本症における主要症候である手指振顫については,まだ神経生理学的にも発生のメカニズムに確証をえていない現状であつて,その治療法は筋トーヌス異常よりも進歩の遅延していることは論をまたない。このような本症候群に対する治療としてphenothezine系誘導体が紹介されたのはここ数年来のことであって,Diparcol(Diethazine)もこの種の中ではかなりよく知られており,手指振顫に効果をみることは,すでに著者らにより報告してきた。
今回著者らは吉富製薬会社より,パーキンソン錠の試供をうけ,その臨床経過を観察する機会をえたので,簡単に臨床成績の一部を報告する。
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