Japanese
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研究と報告
長期入院患者の自己の退院に対する態度
The Attitude of Patients for their own Discharge from Mental Hospital
柴原 堯
1
Y. Shibahara
1
1京都府立洛南病院
1Kyoto prefectural mental hospital "Rakunan"
pp.697-700
発行日 1965年8月15日
Published Date 1965/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200885
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精神病院における長期入院患者の自己の退院,社会復帰に対する自己描写を述べ,あわせて長期入院患者の退院,社会復帰を促進する三人称治療としての祉会復帰療法について考察した。
(1)長期入院患者の自己の退院に対する態度は病前の社会的環境を選ぶことには多く困惑,回避的であり,それよりも低次,単純な心理学的構造の社会的環境に親和性を示している。
(2)この様相は,社会的態度の強制による精神病院内社会の心理学的特長,すなわち,本質性,可能性,自律性の欠除などの特殊な様相を示す心理学的閉鎖社会での長期間にわたる入院生活の影響によるものであり,患者は退院にさいしてもこの精神病院風土の延長を望んでいる。
(3)長期入院患者に対する治療としては,二人称治療としての薬物療法,個人的精紳療法だけではなく,精神病院における治療体系の最終段階の一つとして,生活作業療法を集団のなかでの自己実現を目的として行なう三人称治療が行なわれ,これによつて患者の対人交通能力の回復が十分に行なわれなければならない。
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