研究と報告
Methopromazineの精神疾患患者への使用経験
柴原 堯
1,2
1三重県立大学医学部精神神経科
2三重県立高茶屋病院
pp.59-63
発行日 1962年1月15日
Published Date 1962/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200405
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Ⅰ.緒言
精神疾患の治療は最近における新しい薬物の出現により薬物療法がさかんに行なわれるようになり,それぞれ病状の改善に効果をあげている。しかしながらこれらの薬物療法に用いられているChlorpromazineやPerphenazineらのPhenothiazine系化合物は,精神疾患の急性期,あるいは周期性精神病のごとく比較的経過が短かく,また容易に寛解しうる疾病に対しては少量で著明な効果を示すが,発病以来長年月を経過し病状が慢性化して固着した病者に比較的大量を長期間にわたって投与する場合には,特有な種々の副作用の出現潜在的肝機能障害,あるいは血液像の変化を招来することが多い。
MethopromazineはChlorpromazineの-Clが-OH3(methoxy)により置換されたPhenothiazine誘導体であり,したがつて中枢神経系および自律神経系に対しても,Chlorpromazineときわめて類似の作用をおよぼすといわれている1)4)5)。
Copyright © 1962, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.