Japanese
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研究と報告
精神科領域におけるPhenylisohydantoinの使用経験
Clinical Experiences with Phenylisohydantoin (5-Phenyl-2-imino-4-oxo-oxazolidin) on Psychotic and Psychoneurotic Disorders
松本 胖
1
,
山上 龍太郎
1
,
石川 鉄男
1
Y. MATSUMOTO
1
,
R. YAMAGAMI
1
,
T. ISHIKAWA
1
1国立国府台病院精神科
1Psychiatric Clinic, Konodai National Hospital
pp.155-160
発行日 1961年2月15日
Published Date 1961/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200304
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1.われわれはPhenylisohydantoin(5-Phenyl-2-imino-4-oxo-oxazolidin)を,ナルコレプシー,情動性脱力発作,うつ病,メランコリー,精神分裂病,精神神経症など計24例(男15,女9)に使用したので,その成績を報告する。
2.使用方法はすべて経口投与とし,多くは朝食前に20mgを投与する1回法とし,時に,朝20mg,昼10mgの2回法を用い,午後2時以後の服用を禁じ,不眠を訴える例には就寝前に睡眠剤を頓用した。
3.ナルコレプシーの睡眠発作に対しては著効,うつ病,メランコリーおよび精神神経症に対しては,その精神運動抑制,抑うつ気分,不安感,劣等感,頭重感などの症状にある程度の改善が認められた。しかし,精神分裂病の諸症状に対しては効果を期待しえなかつた。
4.随伴症状としては,まれに不眠,食思減退などを認める以外に,不快な症状をみなかつた。 5.本剤は精神安定作用を有する精神賦活剤と考えられるが,その作用は温和で,緩徐であり,持続時間は比較的長く,Nachdepressionを発呈する傾向を認めない。
6.以上の諸点から,本剤の適応症としては,メランコリーないし軽うつ状態,およびそれらの傾向を有する精神神経症,精神身体病などが考えられ,ことに,ナルコレプシーの睡眠発作に対しては著効があつた。
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