Japanese
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連載 「継往開来」操作的診断の中で見失われがちな,大切な疾病概念や症状の再評価シリーズ
退行期妄想病(状態)
Involutional Paranoid Psychosis (State)
古城 慶子
1
Keiko KOJO
1
1東京女子医科大学医学部精神医学教室
1Department of Psychiatry, Tokyo Women's Medical University School of Medicine, Tokyo, Japan
キーワード:
Involutional psychosis
,
Climacteric insanity
,
Involutional paranoia
,
Involutional paraphrenia
,
Late schizophrenia
Keyword:
Involutional psychosis
,
Climacteric insanity
,
Involutional paranoia
,
Involutional paraphrenia
,
Late schizophrenia
pp.816-819
発行日 2014年9月15日
Published Date 2014/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102804
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はじめに
退行期に発症する妄想性精神病あるいは妄想(幻覚)状態(以下退行期妄想性精神病の呼称で統一)は,退行期メランコリーとともに退行期精神病12)と呼ばれてきた。退行期精神病は閉経周辺期あるいは更年期(40~60歳)に発症した統合失調症,躁うつ病あるいは認知症に至る疾病性の精神病とは別の独立した精神病とみなされてきた。しかも退行期に初回発症後,病相が繰り返されることがない場合に限っての命名であった。ここでは最初に退行期妄想性精神病とその関連領域の研究史を概観しておきたい。次いで退行期妄想性精神病に含まれる退行期パラノイアと退行期パラフレニーの2類型の症状学,精神病理学そして疾病学について提唱者の記載に基づいて論及する。その上で批判的議論にも触れる。最後に今日退行期妄想性精神病をあらためて取り上げることの意義について筆者の若干の見解を述べる。
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