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「統合失調症の予後改善に向けての新たな戦略」が「精神医学」53巻2号の特集であった。特集論文中には「疾病管理とリカバリー(illness management and recovery;IMR)」についても紹介されていた1)。この様に,統合失調症の治療や再発防止に,エビデンスが認められる治療介入法の一つに心理教育がある。しかし,心理教育プログラムの立ち上げや継続が困難であることも多い2)。当院では,過去に心理教育プログラムを含めた複数の取り組みが立ち上げ後すぐに中断していた。こうした現実には,院内スタッフの継続力や職種間連携に大きな課題があった。また,現在多くの精神科病院では,患者,家族,そして医療従事者までもが高齢化しており,ステレオタイプな考え方から抜け出せない現場も多く,「あきらめ」からプログラム導入を困難にしている。たとえ院内スタッフの誰かが新しい取り組みを始めても,続かないのである。
心理教育家族教室ネットワーク本大会の開催県となった年に,開催実行委員に当院からスタッフを派遣する機会を得ることとなった。このタイミングを導入のチャンスと考え,以下に留意し,継続実施を目標に,スタッフへの教育とプログラムの導入を併行して実践した。1)標準版家族心理教育講習会修了者の医師,精神保健福祉士1名ずつを中心メンバーとした。2)関心のある一部のスタッフではなく職種(看護師,精神保健福祉士,作業療法士)ごとにそれぞれ2名を立ち上げメンバーとした。3)立ち上げ準備の勉強会スケジュールを交代勤務である看護師に合わせた。4)勉強会はランチョン形式とし,業務時間後の負担を減らした。5)中心メンバー主導でプログラムを導入し,実践を通して立ち上げメンバーのスキルアップと学習意欲の維持を目指した。実践してみると特に2),3),4)において,現場におけるひと工夫の効果が大きく,メンバーの脱落や実践の中断となることなく,まずは当事者対象の心理教育プログラム導入に成功した。まだ課題は多いが,継続実施ができている。プログラムでは当事者からのフィードバックがメンバーの支えになるなど,良い循環が生まれつつある。
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