書評
―鹿島晴雄,古城慶子,古茶大樹,針間博彦,前田貴記 編―妄想の臨床
大宮 司信
1
1北翔大学人間福祉学部
pp.90
発行日 2014年1月15日
Published Date 2014/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102641
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よく言われるように幻覚と並んで妄想は精神医学の2大問題の1つであり,精神科医にとってきわめて近しいが,解決が常に先に延ばされる課題である。本書は,コンパクトな形で現代の妄想研究の到達点を示す成書である。現在活躍中の方々,またこれから活躍が期待される方々など,現在最も旬な人たちが執筆されており,これ1冊で現在の妄想論,特に妄想の精神病理について十二分に知ることができる。文化的拡がりおよび治療論についても端的で納得のいく説明が加えられている。
妙な書き方になるのだが,焦点がはっきりして腑に落ちる項目だけでなく,ぼんやりして再度読み直す項目があることが評者には好ましい。そうした項目の筆者の責任や筆力不足ではない。もともとその項目を主張し出した者の記載自体があいまいであったり,ぼんやりしているのだ。そうした事情が分かることからも項目著者の力量がよく分かる。
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