Japanese
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特集 アルコール・薬物関連障害
自殺予防におけるアルコール対策―アルコールとうつ,自殺
Alcohol Use Disorder and Depression and Suicidal Behavior: A review
松下 幸生
1
,
樋口 進
1
Sachio MATSUSHITA
1
,
Susumu HIGUCHI
1
1独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター
1National Hospital Organization, Kurihama Medical and Addiction Center, Yokosuka, Japan
キーワード:
Alcohol abuse
,
Alcohol dependence
,
Suicide
,
Depression
Keyword:
Alcohol abuse
,
Alcohol dependence
,
Suicide
,
Depression
pp.1087-1095
発行日 2012年11月15日
Published Date 2012/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102311
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はじめに
アルコールと自殺および自殺企図などの行動との関連については海外では数多くの文献が発表されており,アルコール乱用や依存症はうつ病と並んで自殺対策の主要な問題であることは当然のこととして扱われる。一方,わが国ではかねてより自殺対策はうつ病一辺倒であったが,2008年の自殺対策加速化プランの中でようやくうつ病以外の自殺に関連する精神疾患としてアルコール依存症にも言及がなされたものの,未だに具体的な施策にはなっていない。いずれにせよ,自殺が深刻な社会問題となっている今日,アルコールと自殺の関係について知識を整理することは今後の対策を検討する上でも必須であることから総説として紹介する。
アルコールと自殺の関係は単純なものではなく,自殺直前の飲酒,慢性的な飲酒による自殺リスクの上昇,アルコール依存症とうつ病・自殺,アルコール依存症の合併症など多岐に及ぶ。したがって本稿ではまずアルコールとうつ病の関係について紹介し,慢性的な多量飲酒と自殺,自殺直前の飲酒(自殺の手段の一部としての飲酒),アルコール乱用および依存症(アルコール使用障害と総称)と自殺企図・自殺既遂に整理して紹介する。
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