Japanese
English
特集 精神疾患に対する早期介入の現状と将来
地域における自殺対策―うつ対策の視点も含めて
Care for Depression and Suicide Prevention in Community
大塚 耕太郎
1
,
徳原 淳史
2
,
中川 敦夫
2
,
大野 裕
3
,
酒井 明夫
1
Kotaro OTSUKA
1
,
Atsushi TOKUHARA
2
,
Atsuo NAKAGAWA
2
,
Yutaka ONO
3
,
Akio SAKAI
1
1岩手医科大学神経精神科学講座
2慶應義塾大学医学部精神神経科学教室
3慶應義塾大学保健管理センター
1Department of Neuropsychiatry, Iwate Medical University, Morioka, Japan
2Department of Neuropsychiatry, Keio University
3Health Center, Keio University
キーワード:
Depression
,
Suicide
,
Suicide prevention
,
Community intervention
Keyword:
Depression
,
Suicide
,
Suicide prevention
,
Community intervention
pp.247-254
発行日 2008年3月15日
Published Date 2008/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101167
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自殺対策とうつ病対策
うつ病は今日,いわゆるcommon diseaseとして位置づけられている。世界精神保健日本調査(World Mental Health Japan)によれば,大うつ病(DSM-Ⅳ)の生涯有病率は6.2%,12か月有病率は2.1%である4)。それに伴って近年,うつ病で医療機関を受診する人も増えている。厚生労働省の患者調査では気分障害の患者数は1996年に43.3万人であったのに対して,1999年には44.1万人,2002年には71.1万人,2005年には92.4万人と増加の一途をたどっている。これと連動するかのように,わが国では,1998(平成10)年以降中高年男性の自殺者が増加し,年間3万人を超えたまま推移している。
しかし,自殺の要因になる精神疾患としては,統合失調症やアルコール依存症を含む薬物関連障害なども看過できないため,自殺対策は決してうつ対策だけに限定されない。加えて,自殺対策は保健医療や福祉の枠組みだけで行うものではなく,社会的要因を考慮した総合的対策を行う必要がある。
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