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編集後記
M. I.
pp.864
発行日 2012年8月15日
Published Date 2012/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102260
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本号でもいつものように多方面からの論文が掲載されそれぞれに教えられるところがあるが,一番目を引くのは,なんといってもDSM-5をめぐるAllen Frances先生への大野裕先生のインタビューではないだろうか。本インタビューはFrances先生の来日に合わせて急遽本誌のために行われたもので,この場をお借りして,快くお引き受けくださったFrances先生とご尽力いただいた大野先生に感謝申し上げたい。
本インタビューを企画した目的は,日本におけるDSM-5の無批判な受容への警鐘である。わが国の精神医学界はずっと“舶来品”に弱く(国際標準化といえば聞こえはよいが),昨年来,本誌を含め複数の雑誌でいち早くDSM改定の動きやDSM-5の紹介が組まれてきたが,果たして読者,特に若い読者はFrances先生の批判や懸念をどのようにお読みになるだろうか。DSM-5を咀嚼し自分の身にしていく際に,このインタビューで指摘されている“痛いところ”が,喉に刺さった魚の小骨のように自覚や反省を喚起するとしたら,編集子の意図は外れてはいない。
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