「精神医学」への手紙
総合病院の精神科医が辞める理由
外ノ池 隆史
1,2,3
1医療法人成精会刈谷病院
2前・名古屋第二赤十字病院精神科
3日本総合病院精神医学会
pp.1230-1231
発行日 2010年12月15日
Published Date 2010/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101755
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「精神医学」52巻3号の特集は「総合病院精神科衰退の危機と総合病院精神医学会の果たすべき役割」であった。有床総合病院精神科の減少については確かに不採算性の問題が大きいと思われる。しかし無床総合病院の精神科医がなぜ辞めるのかについては本音のところが語られていないという印象を受けた。
総合病院の精神科の仕事はとても多い。敷居の低い外来,コンサルテーション・リエゾン,緩和ケア,身体合併症,自殺企図,摂食障害など多様である。また職員の精神的問題への対応もある。どれも大切な役割だが,とても1,2名の精神科医でできる量ではない。総合病院で精神科をやろうなどというのは,そもそも不可能への挑戦だったのである。やれないことのほうがずっと多いので,どれだけ努力しても「精神科は何もしない」などと否定的に評価されてしまう。
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