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特集 総合病院精神科衰退の危機と総合病院精神医学会の果たすべき役割
総合病院精神科の将来像
Prospects for the Future of General Hospital Psychiatry
野口 正行
1
Masayuki NOGUCHI
1
1岡山県精神保健福祉センター
1Okayama Prefectural Mental Health & Welfare Center, Okayama, Japan
キーワード:
General hospital psychiatry
,
Liaison
,
Consultation
,
Multidisciplinary team
,
Network
Keyword:
General hospital psychiatry
,
Liaison
,
Consultation
,
Multidisciplinary team
,
Network
pp.239-246
発行日 2010年3月15日
Published Date 2010/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101586
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はじめに
「医療崩壊」が社会問題となり,産科,小児科,救急医療を中心として医療体制が危機的な状態にあることが広く社会に認識されてからすでに3年近くになる。よく知られているように,医療崩壊は総合病院医療の崩壊である。総合病院精神科も決してその例外ではなく,地滑り的に精神科の閉鎖,縮小が相次いでいる。このことは今まで残念ながらそれほど大きな注目を集めなかった。ここのところようやくその深刻さが認識されだしたといえる。本特集も,そのような総合病院精神科問題を掘り下げる試みとして,時宜を得た重要なステップであるといえる。こうした状況がどうしてそれほど注目されなかったのか,そもそも総合病院精神科の意義はどのようなものか,今後どのような事態が予測され得るのか,そして再生へ向けたどのような動きがあり得るのかについて総論的に論じてみたい。ちなみに,総合病院精神科の危機とそのメカニズム,今後の方向性については,「総合病院精神科の現状とめざすべき将来―総合病院精神科のネクストステップ2009」13)に詳細が記されているので,併せてそちらも参照いただけると幸いである。なお,総合病院精神科は無床,有床があり,開放病棟,閉鎖病棟もあり,大学病院も市中病院もあるなど施設形態や規模が実にさまざまである。このため,総合病院精神科を一括して論じることは本来難しい。本稿では紙幅の都合上,話を単純化することにはなるが,1病棟50床程度の有床総合病院精神科を念頭に置いて以下の論述を行うことをはじめに断っておきたい。
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