Japanese
English
特集 総合病院精神科衰退の危機と総合病院精神医学会の果たすべき役割
有床総合病院精神科の危機と課題
How to Get Over Crisis in General Hospital Psychiatry with Psychatric Unit
吉本 博昭
1
Hiroaki YOSHIMOTO
1
1富山市民病院精神科
1Department of Psychiatry, Toyama Municipal Hospital, Toyama, Japan
キーワード:
General hospital psychiatry
,
Psychiatric unit
,
Crisis
,
Community based psychiatry
Keyword:
General hospital psychiatry
,
Psychiatric unit
,
Crisis
,
Community based psychiatry
pp.221-228
発行日 2010年3月15日
Published Date 2010/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101584
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
- サイト内被引用 Cited by
はじめに
2007年頃より医療崩壊という用語がマスコミで取り上げられるようになった。この医療崩壊は主に急性期医療を中心に,いわゆる総合病院を中心に地方から都会へとその現象が広がっている。その原因は多要因であり,今も解決を見ていない。現在は,産科・小児科領域が中心に取り上げられることが多く,国の対策もこの領域にフォーカスが当てられているが,(旧)総合病院精神科(以下,総合病院精神科)もこの医療崩壊という潮流に巻き込まれ苦しんでいることは国民には知られていない。
そこで,総合病院精神科の中でも病床を有している有床総合病院精神科(以下,有床)については,危機的状況に陥っているさまをデータや具体的な地域の実情も提示しながら示したい。そのうえで,有床の役割・機能がどのようなものであるか,根幹をなす国の精神保健福祉施策の問題を諸外国の例も示しながら,今後の課題とともに未来に向かってあるべき姿も語りたい。
ここで総合病院と呼称する際は,日本総合病院精神医学会より「総合病院精神科の現状とめざすべき将来―総合病院精神科のネクストステップ2009」4)(以後,ネクストステップ2009)において提示されている,「内科・外科を含む複数の診療科を有し,主として二次救急を含む急性期医療を提供する病院」としているのに従う。また,有床総合病院精神科とは,精神病床を有し,精神科入院治療を提供できる施設としたい。
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.