Japanese
English
短報
Rifampicin投与によってhaloperidol血中濃度が著明に低下した統合失調症の1例
A Case of Patient with Schizophrenia whose Plasma Concentration of Haloperidol was Markedly Decreased by Co-administration of Rifampicin
高木 俊輔
1
,
正木 秀和
1
,
大島 一成
1
,
車地 暁生
1
,
西川 徹
1
Shunsuke TAKAGI
1
,
Hidekazu MASAKI
1
,
Kazunari OSHIMA
1
,
Akeo KURUMAJI
1
,
Toru NISHIKAWA
1
1東京医科歯科大学医学部附属病院精神科
1Department of Psychiatry, Tokyo Medical and Dental University, University Hospital of Medicine, Tokyo, Japan
キーワード:
Cytochrome P450
,
Haloperidol
,
Rifampicin
,
Schizophrenia
Keyword:
Cytochrome P450
,
Haloperidol
,
Rifampicin
,
Schizophrenia
pp.179-182
発行日 2010年2月15日
Published Date 2010/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101574
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はじめに
Cytochrome P450(CYP450)は肝臓において薬物の酸化的代謝を触媒する酵素群で,約20種類のサブタイプがあり,一般臨床において用いられる治療薬の多くがこの酵素群により代謝および分解される。また,こういった治療薬はCYP450酵素群に対してその酵素活性を抑制あるいは誘導することが知られており,複数の薬物が同時に用いられる場合はおのおのの薬物の代謝動態が複雑な相互作用によって影響される5)。たとえば,本症例のように関節リウマチ治療薬として抗ヒトtumor necrosis factor(TNF)αモノクローナル抗体製剤(infliximab)が使用される場合,この投与によって免疫力が低下するため,抗結核薬の予防的投与が必須となる。その場合,抗結核薬の1つであるrifampicinはCYP450酵素群を誘導し4),定型的抗精神病薬のhaloperidolの代謝を顕著に促進することが報告されている2,6)。
今回,関節リウマチを合併し,infliximab投与のためrifampicinを併用したところ,それまで投与されていたhaloperidolの血中濃度が多大な影響を受けた統合失調症の1例を経験したので,以下に報告する。
なお,個人情報保護の観点から,症例の細部においてはいくつかの変更を施した。また,本文中の薬剤量は1日投与量を記載した。
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