Japanese
English
短報
関節リウマチに幻覚妄想状態を合併した1例
A Case of Rheumatoid Arthritis Accompanied with Hallucinatory:Paranoid state
森山 泰
1
,
古茶 大樹
2
,
村松 太郎
2
,
加藤 元一郎
2
,
三村 將
3
,
鹿島 晴雄
2
Yasushi MORIYAMA
1
,
Hiroki KOCHA
2
,
Taro MURAMATSU
2
,
Motoichiro KATO
2
,
Masaru MIMURA
3
,
Haruo KASHIMA
2
1陽和病院精神科
2慶應義塾大学医学部精神神経科
3昭和大学医学部精神神経科
1Yowa Hospital, Tokyo, Japan
2Department of Neuropsychiatry, Keio University School of Medicine
3Department of Neuropsychiatry, Showa University School of Medicine
キーワード:
Very late onset schizophrenia-like psychosis
,
Rheumatoid arthritis
,
Hallucinatory-paranoid state
,
Schizophrenia
Keyword:
Very late onset schizophrenia-like psychosis
,
Rheumatoid arthritis
,
Hallucinatory-paranoid state
,
Schizophrenia
pp.183-186
発行日 2010年2月15日
Published Date 2010/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101575
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はじめに
統合失調症において,組織中のプロスタグランジンが欠乏しているという仮説は,Horrobin6)によって提唱された。これは,統合失調症では①発熱で症状が軽減する,②苦痛に強い,③関節リウマチの罹患率が低いといった臨床的事実に基づいている。この斬新な仮説を肯定・否定する報告があり,統一した見解には至ってないが,近年でもリン脂質膜仮説2)として修正され,統合失調症における不飽和脂肪酸の代謝異常などの報告2)がある。一方,統合失調症における関節リウマチの合併については,メタ解析による文献のレビューで,健常者に比べて有意に関節リウマチの罹患率が低いとされている12,17)。このような統合失調症と関節リウマチの負の関連の機序には,プロスタグランジン以外にもさまざまな免疫システムの関与が報告3)されている。
ところで,好発年齢の関係で,関節リウマチ患者の統合失調症罹患率は,統合失調症の関節リウマチ罹患率に比べ,より低いと予想されるが,近年関節リウマチにおいても健常群と比較して統合失調症症状を呈する率が低いことが報告3))されている。
今回我々は,関節リウマチに幻覚妄想状態を合併した1例を経験したので,若干の考察をふまえ報告する。なお症例の報告については患者より同意を得ており,また個人情報保護に配慮して事実に影響を与えない範囲で適宜修正を行った。
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