「精神医学」への手紙
塩酸ドネペジル服用患者に診られる白髪の黒髪化現象
堀口 淳
1
1島根大学医学部精神医学講座
pp.696
発行日 2009年7月15日
Published Date 2009/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101458
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写真(図)の症例は,当科で治療中の86歳の女性アルツハイマー病患者である。2007年8月31日から塩酸ドネペジル(3mg/日)の試用開始後,同薬5mg/日のみを継続投与し,この間,他医からトリクロルメチアジド,塩酸ニカルジピン,シンバスタチン,バッファリン®が併用投与されている。家族が本人の白髪の黒髪化に気づいたのは2008年の春頃である。筆者は他の女性アルツハイマー病2例でも,同現象を確認している。
塩酸ドネペジルはコリンエステレースの阻害薬である。アセチルコリン類似作用3)とコリンエステレースに対する抵抗性2)を有する薬物4)が,育毛や発毛促進,白斑用剤の主成分として商品応用されている3)。アセチルコリンの局所血管拡張作用や円形脱毛症の治療効果についてもすでに報告1)されている。筆者にはこれらの報告と今回の所見との関連を考察する能力はないが,アルツハイマー病研究の発展に寄与すれば幸いである。
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