「精神医学」への手紙
抑肝散服用患者にみられた白髪の黒髪化現象
上村 直人
1
1高知大学医学部神経精神科学教室
pp.330-331
発行日 2014年4月15日
Published Date 2014/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102699
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写真(図)の症例は,当科で治療中のレビー小体型認知症(軽度レベル)の80歳代の男性である。夜間の睡眠行動障害と,幻視があり2013年3月11日からツムラ抑肝散54を5gより開始し,同年4月から10gに増量した。家族が白髪の黒髪化に気付いたのは2013年6月頃である。その後さらに黒髪が目立ち,徐々に生え際にも黒髪が目立ってきたことに妻が驚き,主治医に報告されたため,2013年9月時点で継続服用中のこの方を撮影したものである。今回の撮影,および学術論文掲載・報告に関しては患者および妻に同意を得た。併存して服用している薬剤は高血圧,高脂血症,慢性胃炎,排尿障害治療のため,他医から処方されていた酸化マグネシウム,ラニチジン,アムロジピン,コハク酸ソリフェナジン,タムスロシンである。これらの薬剤は抑肝散開始前から処方され,ここ数年来変更はない。また本症例では眉毛も黒髪化している。
堀口は塩酸ドネペジル服用患者で,白髪の黒髪化現象を報告している1)。また育毛や発毛促進の主成分としてアセチルコリン類似作用2)を持つものや,コリンエステラーゼ抵抗性薬剤3)が報告されている。
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