書評
―古川壽亮 日本語版監修・解説―Beck & Beckの認知行動療法ライブセッション
原田 誠一
1
1原田メンタルクリニック・東京認知行動療法研究所
pp.302
発行日 2009年3月15日
Published Date 2009/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101392
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2枚のDVDと解説書からなる本書は,認知療法を学ぶ最高の教材といえましょう。何しろDVDの内容がすごい。認知療法の創始者アーロン・ベックと,彼の娘で次世代の旗手であるジュディス・ベックの初回面接が合わせて3セッション収録されており,認知療法の進行をじかに見ることができるのです。またジュディス・ベックの面接の前後には,彼女と2名の精神療法家との対談が入っていて,DVDに収録されている面接に関するジュディス・ベック自身の解説も聞けるよう工夫されています。
3セッションに登場するクライエントとその相談内容には,共通点があります。3名はいずれも子どものいる20~30代の主婦で,家庭内に強い葛藤(夫,母親,子ども)を抱えており,周囲とのコミュニケーションがうまくいかず悩んでいます。そうした中,「自分」「他者」「コミュニケーション」などに関する認知が偏ってしまい,強い不安・抑うつ状態に陥り絶望感にさいなまれている。こうしたクライエントに対して,ベック親子がどのように面接を構造化し各種技法を用いて介入するか,そしてクライエントがどのように変化していくかをつぶさに観ることができます。認知療法の実施に必要な面接の構造化や介入技法の実際の用い方を元祖・認知療法家のお二人が目の前で見せてくれるのですから,こんな贅沢な学びの機会はないでしょう。
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