Japanese
English
文献抄録
冠動脈疾患に対するBeck手術—63例の評価/動脈疾患に関する暫定的分類
The Beck Operations for coronary heart disease:an evaluation of 63 patlents selected for operation.
佐藤 光正
1
,
佐藤 孝
2
1美甘内科
2慶大内科
pp.806
発行日 1956年11月15日
Published Date 1956/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200433
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
Cleveland大学病院で冠動脈疾患患者63例を撰び,C. S. Beckを招いて同一条件の下に外科的手術を行いその手術前後のデーターからBeck手術を評価した。冠動脈疾患に対するBeckの手術には第Ⅰ法(人工的に心嚢炎を作り又心表面に心外組織を縫いつけて心外組続との血管交通をはかる)及び第Ⅱ法(大動脈と冠部脈洞との間に静脈を移植(冠静脈の動脈比をはかる方法)とあるが,何れも実験的に犬の冠動脈結紮に対するその抵抗を強くする。
手術の適応として63例を撰んだが多くは内科的治療の奏効せぬ執拗な狭心症を持つていた。この際60才以上の者,160mmHg以上の高血圧者心拡大,心不全の徴ある者,消化性潰瘍を持つ者,過去6ケ月以内に心筋梗塞を起した者などは非適応として除外した。63例中8例は第Ⅰ法を余儀なくされ,55例に第Ⅱ法を行つたが,この中完全に施行し得たのは49例であつた。手術死は第Ⅰ法では無かつたが,第Ⅱ法では死亡22例(40%)(この中手術死16例29%)に達した。手術6ケ月後の成績で,疼痛完全乃至殆んど消失し,作業能力を恢復したExcellent或はGoodの例は,第Ⅰ法6例中2例,第Ⅱ法30例中17例で,Master運動負荷試験を行つた28例中4例改善,5例増悪残りは前後不変であつた。
Copyright © 1956, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.