焦点 C.T. Beck氏の研究から考える 看護における研究と方法
産科・母性領域からのアプローチ
出産後うつ状態のリスクを妊娠期に予測する―対話を大事にしたC.T. Beck氏の方法を中心に
池田 真理
1
,
上別府 圭子
1
1東京大学大学院医学系研究科家族看護学分野
キーワード:
うつ病-分娩後
,
児童虐待
,
一次予防
,
対象愛着性
Keyword:
うつ病-分娩後
,
児童虐待
,
一次予防
,
対象愛着性
pp.446-453
発行日 2011年7月15日
Published Date 2011/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100552
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
Cheryl Tatano Beck氏は20年ほど前に,出産後うつ状態の女性が味わっているつらさを目の当たりにして以来,出産後うつ状態患者をどのように支援するかについての研究に継続的に携わってきた。Beck氏は,出産後うつ状態患者との対話を大事にし,質的研究で対象者の経験を描いた。そして多くの出産後うつ状態患者が自分の経験していることを他者に相談できずに,悩みのなかにいることに驚き,妊娠期から出産後うつ状態のリスク要因を特定すること,さらに早期に支援が開始できることをめざした。日本における産後うつ病研究の流れが児童虐待対策の流れと合流し,妊娠期からの予防対策の重要性がクローズアップされつつあるなかで,本稿では,筆者らがBeck氏による出産後うつ状態予測尺度に注目した経緯を報告する。
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.