書評
―宮尾益知 編―「気になる子ども」へのアプローチ―ADHD・LD・高機能PDDのみかたと対応
山田 孝
1
1首都大学大学院作業療法学
pp.724
発行日 2008年7月15日
Published Date 2008/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101248
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子どもたちのための「不思議な本」
この本は不思議な書である。例えば,発達障害への小児科的対応と精神科的対応というところで(p.4),いきなり「一次障害に加えて,二次障害(うつ状態,反抗性障害,行為障害など)を併発してくることが多々ある」として,基本症状よりも,二次障害について説明していくといった本である。基本症状については第3章で初めて説明がなされる。また,その第3章でも,3節に,発達障害は早期発見が大切であるが,早期発見をすればそれでよいわけでなく,具体的早期対応が必要となるとしている。
そのように読んでいくと,著者たちの気持ちが伝わってくるようである。著者の一人であり,編者でもある宮尾先生は,早期発見をした医師はその子どもにとって適切なアドバイスをしなければならないし,場合によっては家庭生活,家族機能など事細かな部分にも及ぶ必要があると言う。また,軽度発達障害(HFPDD,LD,ADHD)を早期発見する意義は,保護者や周囲の心構えでできることと,気になる行動を理解することにより,対応を改善できることであると言う。
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