オピニオン 労災適用の問題
労災をめぐる訴訟の動向―個人基準説と客観基準説
黒木 宣夫
1
1東邦大学医療センター佐倉病院精神神経医学
pp.1212-1214
発行日 2007年12月15日
Published Date 2007/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101117
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はじめに
精神障害の労災補償状況は毎年,報告されているが,精神障害の労災請求件数は1998年度までは年間0~42件であり,件数は少なかった。しかし,労災認定の判断指針が公表された1999年度は155件,以後は急激に増加し,2006年度の請求件数は819件(自殺請求176件)で,同年度には205件が認定されており,2005年度(127件)に比べ全体の認定件数は61%も増加した。このように労災請求件数の増加は,仕事で精神障害に罹患したという意識を持つ労働者および遺族が増えたということであろうが,労災認定に携わる筆者は,業務と精神障害発症との因果関係の考え方,いわゆる業務起因性の考え方を再考する目的で私見を述べる。
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