巻頭言
いっぺんゆうてみたかったこと
豊嶋 良一
1
1埼玉医科大学精神医学
pp.450-451
発行日 2004年5月15日
Published Date 2004/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100478
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- 文献概要
精神医学と日常診療について,私がかねがね「いっぺんゆうてみたかったこと」をここに披瀝させていただきたい。
1. 精神症状の原因分類
1) 「器質因・内因・心因」の区別が軽視されている
伝統的な精神医学では精神障害の原因を大きく3つに分類してきた。それが器質因・内因・心因であり,器質因は外因あるいは身体因とも呼ばれている。この3分法に対して近年,異議が唱えられている。内因性に分類されてきた統合失調症にも脳形態変化が認められること,心因性に分類されてきたパニック障害,強迫性障害でも遺伝性や脳機能異常が想定されることなどがその理由であろう。「原因に基づく分類」を取り払ったDSM-Ⅲ以降,この原因3分法までも軽視する風潮が生まれたように思われる。
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