巻頭言
精神科救急―Fashion,Collection,Mission
澤 温
1,2
1さわ病院
2日本精神科救急学会
pp.116-117
発行日 2006年2月15日
Published Date 2006/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100202
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精神障害者数が2002年に258万人にまで増え,その数は誰でも精神障害になり得るという,昨年の改革ビジョンの啓発目標に皮肉にも近づきつつある。また精神科クリニックが増加し,精神科へのアクセスはきわめてよくなり,精神科受診の敷居は下がった。しかし,平日の日中,医療にアクセスしている患者や,これまで受診したことがない人のこころの状態が,夜間休日に悪くなった時の救急医療体制はお寒い。
国は1995~1998年の4年間に,全国において地域の実情に応じて精神科救急システムを立ち上げるとし,現在ではなにもない県はない。しかしその実情は,時間帯,曜日,救急システム対応の入院形態制限,人口や地域の広さあたりの配置,情報センターの機能など地域によって「ばらばら」である。これが患者のニーズの違いからくる「ばらばら」ならいいが,行政の無理解や財政的理由による「ばらばら」,さらに担当する医療機関の実情,特に指定医の確保の困難さ,経営的視点からの不参加であれば悲惨である。
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