看護婦がホンネで語る医療事故・6(最終回)
看護婦の“mission(使命)”と“action(行動)”を再考する—いま,ここで,私ができること
西村 浩一
pp.1050-1053
発行日 2001年11月1日
Published Date 2001/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903858
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
5回にわたって続けてきたこの連載も,今回が最終回である.連載をスタートするとき,私の関心は頻発する医療事故の“背景”に何があるのかを知ることにあった.事故の報道がなされるたびに,医療現場では新しいマニュアルが作成され,「リスクマネジャー」が配置された.「リスクマネジメント」を学び,事故(事故に至らない「ヒヤリ・ハット」を含む)を隠さず,チームで情報を共有することは,いまや医療界の新たな常識になりつつある.しかし,効果的といわれる“対策”だけを見ても,私には判然としなかった.事故はどのような状況で起きているのか,そして,そこで働いている看護婦の思いは…….
現場で起こっていることを知るには現場にいる人に話を聞くのがいちばんいい.そこで,これまでに20名以上の現職の看護婦に会って,事故をめぐって話を聞いた.具体的な事故報道をネタに話を聞くと,誰もが「事故は他人事ではない」「私にもヒヤッとした経験がある」と語る.「自分も事故の当事者になってしまうかもしれない」という不安の中で緊張しながら業務にあたっている,とも.ではどうすればいいのでしょうねと聞くと,「マニュアル頼みの対策は意味がない」と口をそろえる.そして付け加える.「問題は,個々の看護婦の注意不足ではなく,組織的・構造的なことなんです」と.
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.