岩手県高度救命救急センターにおける自殺未遂患者の横断的調査―通院状況を考慮した自殺予防

The Cross-sectional Survey of Failed Suicides in Critical Care Center of Iwate Prefecture：Suicide prevention considering outpatients' contact with medical facilities

抄録

　岩手県の自殺率は高く自殺の予防は緊急の課題である。今回我々は救急センターでの自殺未遂者について，企図前の受診状況別に検討した。対象は2002年4月1日からの1年間に岩手県高度救命救急センターを受診した自殺未遂者125名（男性44名，女性81名，平均年齢42.0歳）である。ICD-10診断ではF3が最も多く，F4，F2，F6の順であり，60.8％が精神科病棟に入院した。精神科以外の科に通院中のものは有意に高齢でF3が多く，通院なしではF3とF4が多かった。自殺の予防には医療従事者へのうつ病の教育や，一般住民へのうつ病の啓発やスクリーニングによる介入，メンタルヘルス教育が重要であると考えられた。