巻頭言
効果的な自殺防止活動を進めるために―身体疾患患者の自殺を考える
堀川 直史
1
1埼玉医科大学総合医療センター神経精神科
pp.932-933
発行日 2005年9月15日
Published Date 2005/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100098
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近年の高い自殺率は精神医学の大きな問題であるばかりではなく,深刻な社会問題にもなっている。これについてはすでに多くの議論があり,実際にも,人口過疎地帯における主に高齢者を対象にした自殺防止のための地域活動が行われ成果を上げている。その他に,職域におけるうつ病の早期発見と治療による自殺防止活動が行われるようになり,服薬などの自殺企図を繰り返し,そのつど救命救急センターに搬送される患者についても,自殺企図防止のための試みが開始されている。
筆者は救命救急センターに入院した自殺企図者の面接を行っている。その経験から,自殺とその防止がこれほど注目されているにもかかわらず,身体疾患患者の自殺がほとんど取り上げられないことは大きな問題であると感じている。これは,近年の社会情勢との関係が比較的薄く,社会的な注目を集めることが少ないことにもよるのであろう。
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