特集 小児予防救急――病気やケガを未然に防ぐ仕組みづくり
7.自殺防止
-――児童青年期の自殺念慮と救急医療の役割
神薗 淳司
1
1社会医療法人聖ルチア会聖ルチア病院精神科
キーワード:
自殺念慮
,
児童虐待・ネグレクト・いじめ
,
神経発達症
,
性的マイノリティ・LGBTQ+
,
心理社会的診察
Keyword:
自殺念慮
,
児童虐待・ネグレクト・いじめ
,
神経発達症
,
性的マイノリティ・LGBTQ+
,
心理社会的診察
pp.690-696
発行日 2023年7月1日
Published Date 2023/7/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000002630
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
自ら命を絶とうとする児童青年は,押し寄せてくる絶望感と無力感にさいなまれ,それ以外に代替案がないと認知している.急性医療における児童青年期の自殺予防の理念は,自殺念慮/自殺企図の評価と精神科診療との連携による環境調整と薬物療法を開始することにある.すなわち,精神症状を含む主訴や身体症状や徴候の評価に,構造化された問診を能動的に加えることである.本稿ではまず,自殺関連事象の定義と死に対する概念の発達を概説する.次いで,救急医療で利用されている代表的な自殺念慮のスクリーニングであるASQの具体的な方法を紹介する.併存する神経発達症や性的マイノリティ・LGBTQ+の特性,さらに児童虐待・ネグレクトやいじめといった逆境的体験をとらえ,一方で再企図抑止につながる保護因子を患者とともに探ることが精神療法ともいえる介入の始まりとなる.救急医療を担う医療者による精神療法との出会いが自殺予防のゲートキーパーとして機能することに異論はなく,その責務は大きい.
Copyright © 2023, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.