今月の主題 気管支喘息—病態から治療まで
病態へのアプローチ
BAL(bronchoalveolar lavage)
木村 郁郎
1
Ikuro Kimura
1
1岡山大学医学部・第2内科
pp.607-609
発行日 1984年4月10日
Published Date 1984/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218982
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気道の中で比較的肺門に近い領域の気管はともかくとして,肺胞を含めた末梢気道領域の生体防御機構については不明な点が多かったが,近年,気管支肺胞洗浄(bronchoalveolar lavage1);BAL)を行うことができるようになり,びまん性の肺胞を含む末梢領域の病変について数々の新しい情報が提供されるに至り,呼吸器疾患の診断に画期的な変革がもたらされつつある.
現在内科領域における成人の喘息の重要な問題は,重症難治性喘息に対する対策である.中高年発症型であることの多い本喘息は,しばしば胸部X線上微細粒状影を伴い,病変の主座がやや末梢気道に寄りぎみであり,アトピー型喘息とは本質的に異なっている.筆者ら2〜4)は1978年以来,喘息に初めて系統的に気管支肺胞洗浄を病態の解析あるいは診断に応用し,とくにびまん性に近い病変を伴う重症難治性喘息解明の一助としての価値について検討を行った.
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