Japanese
English
綜説
重症急性呼吸器症候群(SARS)
Severe Acute Respiratory Syndrome;SARS
川名 明彦
1
Akihiko Kawana
1
1国立国際医療センター呼吸器科
1Department of Pulmonology, International Medical Center of Japan
pp.909-916
発行日 2003年9月1日
Published Date 2003/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100718
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はじめに
重症急性呼吸器症候群(Severe Acute Respiratory Syndrome;SARS)は,2002年11月頃から突如出現し,東南アジア,北米を中心に30数カ国8,400人以上の感染者と800人以上の死者を出した1).この流行はまさに航空輸送時代の感染症の世界的アウトブレイクであった.医療スタッフからも多くの犠牲者が出たが,各国の努力と連携により2003年7月5日ついにWHOは事実上の「制圧宣言」を発表,8カ月に及んだSARSの流行はひとまず終息した2).SARSがこのまま消えてしまうことを心から願うが,何らかのきっかけで再流行が起こることも懸念されている.万一,再流行が起こったときのために本疾患についてのこれまでの知見を整理し,十分な備えをしておく必要がある(*WHOの“affected areas”,“areas with recent local transmission of SARS”を本稿ではまとめて“感染地域”と略した).
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